プロサッカー(フットサル)コーチをしておりますふみやです!
少し前に、保護者の方から僕の選手起用の仕方について不満が出ました。
僕は基本的にどんな試合でも全員を出場させてピッチに立たせるので、それが不満に感じておられたようです。
色々な考えがありますので、不満に感じる気持ちも分かります。
今回の記事では、育成年代での“全員出場”について、僕の考えを書いていきたいと思います!
動画でも話しています⏬
僕が何故全員試合に出場させることに拘るのか
少年サッカー・育成年代において、一番大切なことは、試合に勝利することではありません。
一番大切なことは子どもたちが心身共に成長し、次の年代へと繋げることです。
そのために、一部の選手だけを起用することは、試合に出ない子どもの可能性を潰すことになりかねません。
今まで500人以上の選手を指導してきて、小学生の間は活躍していなかったのに、中学・高校で才能を開花させて活躍している選手を何人も見てきました。
逆も然りです。
もちろん、勝利を目指すことは悪いことではありません。
目の前の試合を真剣勝負で戦うからこそ、本気でやるからこそ成長があるでしょう。
ただ、ピッチに立ちチャレンジする機会が無い選手がいることは育成年代ではやってはいけないことだと思っています。
全員に、最低でも試合の4分の1以上は出場させ、チャレンジする機会を与えてあげながら、その上で最大限勝利を目指すことが僕ら指導者の仕事だと考えています。
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全員出場させるメリットとデメリットとは
指導者の皆様、保護者の皆様、あくまで一つの考え方として参考にしていただければと思います^^
全員出場のメリット
まずは何故僕が全員出場に拘るのかの理由にもなるところ、メリットについて解説していきます!
全員にピッチで挑戦する機会がある
これがまず最重要です!
育成年代に置いて、今の実力なんてものはそれほど大切ではありません。
これから年代が上がっていく中で、どの選手が隠れた才能を開花させていくかなんて、誰にも分かりません。
“今の実力”だけで選手の才能を決めつけることは危険です。
一部の選手だけを試合に出場させることは、隠れた才能を潰してしまうことになりかねないのです。
全員をピッチに立たせて、チャレンジする機会を与えてあげましょう!
思わぬ選手が伸びることがある
これは実際に僕が指導しているチームの中で多々起きていることなのですが、
「まさかこの選手がここまでの選手になるとは思わなかった」
そんな事例が、数年で多発しています。
もし実力でメンバーを絞り、現時点で実力のあるメンバーのみを出場させていたら、間違い無くそんな選手たちは生まれてこなかったでしょう。
全員を試合に出場させていたからこそ、彼らは隠れた才能を引き出すことができたのです。
もっと言うと、才能を開花させるのはもっと先の選手だっているかもしれません。
そんな選手に、できるだけ経験を積ませてあげること。
それこそが育成年代・ジュニア年代でするべきことだと考えます。
チーム内で序列(差別)ができにくい
レギュラーを決め、実力があるメンバーのみが試合に出ていると
サッカーが上手い=えらい
という考え方がチームの中に生まれやすくなってしまいます。
もちろん、必ずしもそういったことが起きる訳ではありませんが、
チーム内に序列が生まれてしまうことで、レギュラーの選手が「自分は偉い」と勘違いしてしまったり、実力の無い子に対しての差別のようなことが起きてしまうことがあります。
全員できる限り同じように出場させていると、そのような考え方は生まれにくく、チーム内に序列や差別は起きにくくなります。
チームの底上げになる
これは上記の「思わぬ選手が伸びる」とも重なる部分にもなりますが、
全員がチャレンジする機会があり、試合経験を積むことで、一人一人、そしてチーム全体が成長していきます。
そのことによって、時間が経てば一人一人が成長し、
「誰が出ても戦えるチーム」となっていきます。
全員出場させるデメリット
ここからはデメリットについて解説します。
競争が起きにくい
全員出場させるデメリットとして良く言われることは
「全員が試合に当たり前に出られるので危機感が無くなる」
ということ。
また「中学・高校でレギュラー争いをしていかないといけないので、ジュニア年代の間からスポーツの厳しさを知っておくべき」という意見もよくありますね。
その考え方も分かりますし、間違っていないと思います。
ただ、競争させるにしても、ずっと試合に出られないと成長するチャンスが無いですし、ずっと出られない子は諦めの気持ちが出てしまうので、しっかりチャンスを与えてあげるべきだと思います!
個人的には、レギュラー争い以外で競争させることも可能ですし、それよりも試合に出て経験させることの方が大切だと考えています。
その試合だけ見ると勝率が下がる
全員出場での一番のデメリットになるのは、目の前の試合だけを考えると勝率が下がってしまうことだと思います。
現時点で、実力のあるメンバーを固めて試合を挑んだほうが、試合に勝てる可能性は上がるでしょう。
結果を求めていかないといけないチームでは、中々全員を試合に出して戦うのは難しいかもしれません。
ただ、長期的に見ると、勝率は下がるどころか上がっていきます。
これは全員出場に拘って指導しているチームの方、皆さん仰ることで、ドイツで指導者をされている中野さんも仰っておられました。
長期的に見ると、一部のメンバーだけを出し続けると伸び悩むことが多く、全員出場させていると思わぬ選手も伸びて総合力は上がり、1年後強くなっているケースが多いのです。
保護者の不満が募りやすい
うちのクラブで起きたケースでもありますが、やはり保護者の皆さんは試合を観に来たらもちろん勝って欲しいと思っています。
そこで、試合に実力が劣っている選手が出てきて、負けたとしたらどう思うか?
恐らく不満に思うでしょう。
ただ、うちのクラブで起きた例では「何故全員試合に出すのか」
その理由が保護者に伝わっていなかったことが一番の原因だと感じています。
また、メンバーを絞って結果を出したとしても、その影で出られない選手の保護者は不満に思うでしょうし、
どんな采配をしても全員に納得してもらうのは困難です。
大切なのは「何故そのような采配をしているか伝えること」だと思います!
事例
僕は育成年代では「全員出場」推奨しておりますし、その考え方が広まってほしいと考えています。
とはいえ、デメリットも多少ありますし、全部の試合でみんなを同じ量出すのは難しいも思います。
ですので、僕のクラブではルールを決めています。
ルール①
その試合のカテゴリーの最高学年は、必ず全試合に出場させ、出場時間は最低試合の4分の1は出場させる。
多少の競争を促すという意味でも、公式戦では全員を同じ時間出場させることはせず、出場時間の長さはその都度変えています。
実力だけでなく、練習の取り組み方や意識、ピッチ外での行動なども見て、それぞれの出場時間は決めます。
ただ、必ずチャレンジする機会を与えるため、最低でも試合の4分の1には出場させます。
20分ハーフでしたら最低10分ですね!
ルール②
下の学年の追加選手も、連れていった以上必ず出場機会を与える
2つ目のルールは、下の学年から連れていくプラスα選手ですが、下の学年でも連れていった以上は必ずピッチに立たせる機会をつくります。
「観るのも勉強」と考える指導者の方もおられるかもしれませんが、
家族との時間も犠牲にして1日試合に行き、1分も試合に出ずに帰ってくるのは子どもも親も悲しすぎます。
それなら家で自主練してる方がマシです。
あるサッカー少年の保護者がこう話していました。
息子が、試合が決まると「どの学年の試合?」と聞いてきます。
「どうして聞くの?」と尋ねると、
「上の学年だったら、行っても観てるだけだから嫌だなと思って」と答えました。
悲しい気持ちになりました。
この話を聞いて、関わる保護者と選手に、このような気持ちにさせないようにしていきたい強く思いました。
まとめ
結論、僕の考えとしてはデメリットはあまりありません!
試合の勝率に関しても、1年間という長期で考えれば確実に”全員出場させた方がチームも強くなる”からです。
リーグ戦などの公式戦や、試合の中で、4月にはボロ負けした相手に接戦できるようになったり、
勝てなかった相手に勝てるような力を付けていった子どもたちの成長を、何回も見てきました。
保護者の不満に関しても、しっかりと考えを打ち出せば、理解が得られるはずです。
その考えに合わない人は、自分の考えに合う”勝利至上主義”のチームを選べばいいのです。
ちなみに「他のチームだったらずっと試合に出られる上手い選手が、全員出場だと伸びないのではないか?」
という意見もありますが、まったくそんなことはありません。
2019年度にキャプテンをしていた選手は、5年生の時には得点を取れる選手じゃなかったのに、半分の試合出場時間でフットサルリーグの得点ランキング2位に入るほどの成長を見せました。
むしろ、レギュラー固定で勘違いしてしまうことなく、人のせいにせずに常に自分を高め、仲間を大切にして、成長を見せてくれました!
色んな考え方がありますし、他の考え方を否定する気はありません。
でも、僕はやっぱり子どもたちがみんな試合に出てチャレンジする機会を持ってほしいと願います。
同じ考えを持つ指導者やチームが1人・1つでも多く増えることを心から願っています。
このブログを読んでいる皆様にも、一つの考え方として参考にしていただければと思います!
では
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